無可有庵

音楽その他ついて

介護職について思う

介護職には「キツい」「低賃金重労働」といった「割りに合わない」というイメージが付き纏っているかもしれない。確かにそれは一部当たっているのだが、私はそうは思わない。介護は人のケアを担う専門職であり、実に高いスキルが求められる対人援助職である。


歴史的に介護などのケア労働が人々の忌み嫌う職種として低く見られたり、いわば被差別階級的職種であった時代は確かにあったと思うけど、これだけ「人種差別」が問題化されている現代にあって介護労働を差別するのはまず時代錯誤である。


ヨーロッパの文明圏は奴隷商もやったし、それは今日でも名残が残っているが、私はこれは白人種の民族的知恵なのではないかと思う。髪の黒い黄色人種の中だって差別はあるし、現にさまざまな職業の種別によってヒトは差別するのだ。


私は病院、それも精神科というところで看護助手という職種に就いていたが、これも明らかに(私の勤務先に於いてはという括弧付きではあるが)被差別階級的職種であった。しかし、実際のところ医師よりも患者さん・利用者様に多く関われるのは看護や介護職なのだ。そしていつの間にか手につけようがなくて精神科に送り込まれたようなさまざまな方々と接する時間を私は楽しむようになっていた。


福祉学にしても、心理学や社会学にしてもこれらはおおよそ人間についての学問である。人間についての学問はその対象とする人間を観察するのが一番勉強になる。何故ならそれが実際の現実であり経験であり真実であるから。