ユートピア記帳

音楽その他ついて

音楽と政治について

音楽と政治というテーマで以前に20世期初頭頃の近代芸術の美学みたいなものについて思索していた時期があった。最近、音楽史の勉強をしようとGrout/Peliscaの『西洋音楽史』などを読んでいるが、アリストクセノスの立ち位置に引っ掛かるものがあった。曰くアリストテレスの系譜を引くアリストクセノス音楽理論を数学や哲学等の諸学問から切り離して独立した体系として音楽を思考したらしい。

古代ギリシアではミメーシスといって音楽は感情の模倣であると考えられ、イデアの模倣としての現実世界の模倣、つまり二重copyと考えられていた。この事から音楽には現実を変える力、つまり政治力は無いと考える事も出来るだろう。これは悩ましく、窮すれば音楽する余地など無いとも言えるし、祈りとしての音楽は困難な状況にあってこそ真であるとも言えると思う。

古代ギリシアにおいて音楽を身体的表現、カタルシス、ミメーシス、数学、哲学との関連で考えていた事は示唆的であると思う。そして今日の政治に於いて哲学がすっかり失われてしまった事は全く嘆かわしいと思う。